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試し、考え、また試す。 できる気がしなかったところから続いた現在地

  • 岡田 智哉

デザインとフロントエンドの両方を横断しながら、Web制作に取り組んできた岡田さん。
現在は、実装と表現のあいだを行き来しながら、世界観の設計にも関わるようになっています。
しかし、意外にもその出発点は「自分には向いていないかもしれない」という感覚でした。
なぜ、そこから続けることができたのか。
そして、手を動かし続けた先で、何が少しずつ変わっていったのか。

AIの進化によって実装のあり方が変わりつつある今、
岡田さんはどこに自分の軸を見出そうとしているのか。
本記事では、できる気がしなかった原点から、
試し、考え、また試すというプロセスの中で形づくられてきた思考と、その現在地を辿ります。

岡田 智哉

1997年生まれ、群馬県育ち、愛知県在住。Webサイトのデザインとフロントエンド実装を行うクリエイター。 2020年よりWeb制作を独学で学び、フリーランス、制作会社での実務経験を経て、2026年4月に独立。現在は4WIDEという屋号で活動中。 ブランドサイト、コーポレートサイト、ポートフォリオサイトを中心に、情報設計、ビジュアルデザイン、インタラクション設計、実装までを横断して対応。ミニマルで洗練された表現を軸に、ブランドや活動の魅力が伝わるWebサイトを制作。 Webサイト: https://4wide.jp/
運営メディア: https://www.dot-push.com/
X: @__o_state

“広く”から“深く”へ
Tomoya Okadaさんの現在地

―― まず、現在の活動について教えてください。

Web制作で、デザインとフロントの実装を軸に活動しています。

つい最近独立したばかりなんですが、今はその形でやっています。
これからは、単純に“サイトを作る”というよりは、その一歩手前というか…
世界観から考えて設計していくことができるようになりたいと思っています。

―― 実装やビジュアルだけではなく、その前段から関わろうとしているのですね。

そうですね。
見た目だけ整えるというよりは、そのあともちゃんと使っていける形にしたいなと思っていて
設計の部分も含めて整理しながら進めるようにしています。

―― 最初からその関わり方だったんですか?

いえ、最初は全然違いました。
以前は、指示書やデザインをもとに実装する仕事が多くて
どちらかというと“つくる側”でしたね。

そこから少しずつ、実装の設計やデザインの部分も考えるようになってきた、という感じです。

―― 変化のきっかけはありましたか?

明確に一つ、というよりは、やっていく中で徐々にですね。
どうしたらもっと良くなるかを考えていくと、自然と手前の工程にも興味が出てきて
気づいたら、そこにも関わるようになっていた、という流れです。

―― 最近はどんなことを考えることが多いですか?

やっぱりAIですね。

AIが出てきたことで、自分の立ち位置がこれからどう変わっていくのか、というのはよく考えています。
今までやってきた実装の部分も、AIでできるようになってきているので。

じゃあ自分はこれから、どこを強みにしていくのか
それをどうやって伝えていくのか
そこは、結構意識しています。

―― その中で、何か見えてきたものはありますか?

今考えているのは、“広くやる”よりも“深くやる”ほうがいいのかな、ということですね。

これまでは、デザインも実装も両方できることが強みだと思っていたんですけど
それが、この先も同じように強みであり続けるのかは、少し考えるようになってきて
その中で、自分の中で軸になるものをちゃんと作っていきたいなと思っています。

アニメーションの表現だったり、世界観の作り込みみたいなところは、その一つかなと感じています。
まだ整理しきれているわけではないんですけど
でも、確実にそっちに向かっている感覚はありますね。

―― デザインと実装、その両方に関わってきた経験が、いまの視点につながっている。

一方で、その“広さ”をどう活かしていくかについては、岡田さん自身も考えることが増えているという。
最近独立したばかりという状況もあり、これからの方向について向き合う時間は、以前よりも増えているのかもしれない。

「広くできること」から、「どこを深めていくか」へ。
その問いに対して、明確な答えが出ているわけではない。

ただ、これまでと同じやり方を続けるのではなく、少しずつ重心を変えていこうとしている。
その変化の途中にいることだけは、はっきりと感じられた。

“できる気がしなかった”ところから始まった原点

―― そもそも、最初からクリエイティブに興味があったんですか?

いや、全然なかったです(笑)
むしろ、自分はあまり向いてないと思ってました。

―― 向いていない、というのはどういう感覚でしたか?

何かをゼロから生み出すことですね。
そういうのって、センスがある人がやるものだと思っていたので
自分からやろうと思ったことは、あまりなかったです。

―― そこから、どういうきっかけで触れるようになったんでしょうか?

大学です。
授業でプログラミングをやる機会があって、そこで初めて触りました。

―― 最初はどんなことをやっていたんですか?

JavaとかC言語ですね。
ただ、そのときはコードの意味をちゃんと理解していたわけではなくて
教授が書いたものを写して、それを動かす、みたいな感じでした。

ただ、それがすごく面白いと思えたんです。
なんでそれで動くのかは分からなかったんですけど。
でも、少ないコードで何かが動く、っていうのがすごく新鮮で。

―― 体験としての面白さが先にあったんですね

そうですね。そこが最初の入り口だったと思います。

Webの面白さを知るきっかけになったその当時の開発画面

―― そこからWebに繋がっていくんですか?

はい。ゼミでPHPを触る機会があって。

―― どんなことをやっていたんですか?

ホテルのサイトを作る課題で、予約の仕組みも少し触りました。

ただ自分は、C言語とかでやるようなシステムよりも
見た目を作るほうが楽しいなって感じて
普段見ているサイトを、自分で作れている感覚があって
それがすごく面白かったんですよね。

―― そのときに、“つくる側”の実感が出てきた。

そうですね。
将来的に、こういうことを仕事にできたらいいな、くらいには思いました。

―― そこから一気にのめり込んでいった?

いえ、そこですぐというわけではなくて。
明確に“やりたい”と思ったきっかけは、また別にありました。

―― どんな出来事だったんですか?

あるWebサイトを見たときですね。

今まで見てきたものと全然違っていて。
アニメーションとか、表現にかなり力が入っているサイトでした。

有機的なアニメーションとデザインによる独自の世界観を纏ったWebサイト

―― 何が一番印象に残りました?

“こんなことができるんだ”っていう驚きですね。
当時は、こういう表現がWebでできるっていうこと自体を知らなかったので。

―― そのとき、どう感じていましたか?

…やってみたいな、って思いました。

―― 仕組みは理解できていたんですか?

いや、全然わからなかったです(笑)

どうやって作っているのかも分からない状態だったんですけど。
それでも、“自分もこういうの作りたい”って思ったんですよね。

―― 理解よりも、先に惹かれたんですね

そうですね。完全に感覚でした。

―― そこから勉強を始めていったんですか?

はい。自分なりに少しずつ。

もともと、一つハマると結構続けるタイプで
スポーツとかもそうですし、ゲームも同じのをずっとやるタイプでしたね。
なので、Web制作も同じで
興味を持ったものは、そのまま続けていけたんだと思います。

あと、負けず嫌いなところもあるので
自分も良いものを作りたい、っていう気持ちはずっとありました。

―― 最初から、クリエイティブに対して自信があったわけではなかった。

むしろ、「自分には向いていないかもしれない」という感覚のほうが近かったという。
それでも、プログラミングに触れたときの体験や、
Web制作を通じて感じた面白さが、少しずつ意識を変えていった。

そして何より、「理解できているかどうか」よりも先に、
「やってみたい」と感じた瞬間があったこと。
その感覚が、その後の行動につながっていったように見える。

振り返ってみると、強い確信があったわけではない。
ただ、興味を持ったものを続けてきたことが、少しずつ方向を形づくっていったのだろう。

“何かが違う”から始まった初期キャリア

―― 大学を卒業してからは、すぐにWebの道に進んだんですか?

いえ、一度別の仕事に就いています。
Webとは関係ない仕事でした。

―― そこから方向を変えたきっかけは?

やっぱり、違うなと思ったというか…

自分がやりたいこととは、ズレている感覚がありました。

―― どれくらいの期間で判断したんですか?

半年くらいですね。
そのまま続けるよりは、一度ちゃんと向き合ったほうがいいかなと思って。

―― そこからWeb制作の道に?

はい。ただ、その時点で明確な計画があったわけではなくて。
とりあえずやってみるしかないな、という感じでした。

―― フリーランスで活動しはじめたとのことですよね

そうですね。結果的にそうなりました。

―― 不安はなかったですか?

ありましたね。

ただ、それ以上に“やらないと進まない”という感覚のほうが強かったです。

―― 実際に始めてみて、どうでした?

最初は、何をすればいいのか分からなかったです。
仕事の取り方も分からないし
どこまでできれば“仕事になる”のかも分からない。

完全に手探りでしたね。

―― どうやって最初の仕事を受注したんですか?

企業に直接メールを送っていました。
クラウドソーシングはあまり使わずに。
とにかく、自分から動くしかないなと思って。

―― 最初の案件は覚えていますか?

覚えています。

正直、全然できてなかったなって思います。

―― どんなところで苦戦しました?

自分ではできているつもりでも、デザインとの差が結構あって
何度も差し戻しを受けました。
ちゃんとやっているつもりなのに通用しない、というのは
結構しんどかったです。

―― 辞めようとは思わなかったですか?

それはなかったですね。
ダメだったら、またやればいい、という思いでやり続けていました。

指摘されたこと.txt
自分でつくったチェックノート

―― その感覚はどこから来ていたんでしょうか?

うーん…

もともと、自分の中にコンプレックスみたいなものがあって
学生の頃に、思うように動けていなかった時期があったんです。
周りが普通にできていることが、自分にはうまくできなくて
置いていかれている感じがありました。

そのときは、自信もなかったですし。
“このままで大丈夫なのかな”って思うことも多かったですね。

ただ、そのままで終わるのは嫌だったので
少しずつでも、自分でできることを増やしていこうとは思っていました。

―― そこから変化していったんですね。

はい。
すぐに何かが変わったわけではないんですけど
ちゃんとやれば、少しずつでもできるようになる、という感覚が出てきて

それが積み重なっていった感じです。

最初からできるとは思っていなかったので
できなくても、“まあそうだよな”って受け止めて
じゃあどうするか、を考えるようになりました。

―― それが今のスタンスにもつながっていそうですね。

たぶん、そうだと思います。

一回ダメでも、またやればいいかなって思えるのは
そのときの経験があるからかもしれないですね。

―― 最初から、自信を持って進めていたわけではなかった。

むしろ、「思うように動けない」という感覚や、
自分の中にあったコンプレックスが、出発点に近かったという。
それでも、その状態をそのままにせず、できることを一つずつ増やしていく。
その繰り返しの中で、「変えられる」という実感が少しずつ生まれていったのだ。

大きな転機があったというよりも、
小さな試行錯誤の積み重ねによって、仕事としての形が見えてきた。

この後に語られる「試して、考えて、また試す」という進め方は、
こうした経験の延長にあるものなのかもしれない。

分岐点
“一人でやる”から“誰かとつくる”へ

―― フリーランスとして続けていく中で、転機になった出来事はありましたか?

ありますね。

プロジェクトチームの一員として活動するようになって
あるエンジニアの方と一緒に仕事をするようになったことは、大きかったと思います。

―― それまでは、基本的に一人でやっていたんですよね?

そうですね。
一人で受けて、一人で作って、という感じだったので
ずっと、自分の中だけで完結している感覚はありました。

最初は単純に、一緒に作る相手がいる、というだけでも違いましたね。

―― どう違いました?

迷ったときに、相談できるというのが大きかったです。
それまでは、これでいいのかどうかも、自分一人で決めていたので
そこで初めて、“誰かと作る”という感覚が出てきた気がします。

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2026.05.11

試し、考え、また試す。 できる気がしなかったところから続いた現在地

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