まだないサービスを、どう伝える? 『UGOKKO』の世界観づくり
モンブラン
子どもの健康を、難しい説明ではなく、思わず「楽しそう」と感じられる世界として届ける。「UGOKKO」は、医療・介護・予防医療を展開する桜十字グループから生まれた、医療機関発のキッズ・ウェルネスジムです。
まだ世の中にないものを、どうすれば親子にわかりやすく、楽しく届けられるのか。
本記事では、制作を手がけられたモンブランさんに、ロゴ、ことば、キャラクター、動画、Webサイトまでを横断しながら、UGOKKO FRIENDSやUGOKKO WORLDへと展開していく中で、UGOKKOという世界観をどう立ち上げたのかを伺いました。
子どもの健康を、
楽しい体験へ変えるために
―― まずは、UGOKKOというサービスが生まれた背景から教えてください。
依頼は、医療・介護・予防医療を展開する桜十字グループさま。
同グループが掲げる「人生100年時代のウェルビーイング」を実現するには、大人になってからでは遅いのではないか。子どものころから、健康との向き合い方や身体づくりを育んでいく必要があるのではないか。その考えから生まれたのが、「UGOKKO」です。
その背景には、健康寿命の短さや、要介護・寝たきり予備軍の増加があります。さらに最近では、雑巾がけをしていて前歯を折ってしまう子どもがいる、というリアルな現場の声や、これまでの統計から、子どもの運動能力の低下が著しいことが見えてきました。
そうした課題と、桜十字グループのこれまで培ってきた予防医療の知見をベースに、医師・理学療法士・健康運動指導士・管理栄養士・看護職などが連携。幼児期からの運動能力向上に加え、栄養・睡眠と、正しい健康習慣を親子で学びながら身につけようという医療機関発のキッズ・ウェルネスジムです。
そのUGOKKOの立ち上げにあたり、モンブランへ依頼がありました。
―― Webサイトだけでなく、ロゴやキャラクター、動画まで手がけられているそうですね。
制作範囲はどのように広がっていったのでしょうか。
「新しいサービスを立ち上げるので、その世界観から一緒につくってほしい」
そこからスタートしたこのプロジェクトは、話を重ねていくなかで「何をつくるか」が少しずつ広がっていった感覚があります。
モンブランが担当したのは、ロゴ、各サービス名やイメージカラー、キャッチフレーズ・スローガン、事業形態を表すことば、キャラクター、ネーミング、ジムの外装デザイン、Tシャツ、 CMなどの動画、そしてWebサイトまで。UGOKKOという世界観を、一つひとつ立ち上げていくようなプロジェクトでした。
―― まだ世の中にないサービスを伝えるうえで、最初に感じた難しさは何でしたか?
依頼があった当初は、「難しいお題がきてしまった…!」というのが、モンブラン代表・竹田の率直な感想です。まだ世の中にないサービスを伝えないといけない。しかも、子ども・医療・教育といった専門知識が必要な領域。この2つをどう乗り越えるかが、まずは大きなテーマでした。
そこで、このプロジェクトは人選がすべてだと考え、お声がけしたのが、ウフラボの平野さんと、編集者の福永さんです。これまで数々の案件をご一緒してきたお二人は、信頼できるパートナーであることはもちろん、それぞれに、この領域での強みがありました。
平野さんは、大学院で社会課題の解決にも取り組みながら、継続して学びを深めているデザイナーです。特に子どもや医療領域におけるデザインを得意とされています。
そして福永さんは、「まだ見えていないものを翻訳する」ことに長けた編集者でありコピーライター。そのやわらかな視点と編集力が、このプロジェクトには欠かせないと感じていました。
「むつかしいことを、むつかしくしない。」
まずは世界観とことばを。
―― 専門性の高いサービスを伝えるために、まずどのようなことから始めたのでしょうか。
モンブランがプロジェクトで最初に必ずするのは、対話です。
そこから、プロジェクトの方向性やイメージの核となることばをつくります。
今回の「UGOKKO」は、医療、教育、子どもという領域。エビデンスも、想いも、信頼も、すべて大事ですが、どれも伝えようとすればするほど、どうしても説明っぽくなってしまいます。情報はもちろんですが、伝えたいことは「なんだか気になる」「こんな場所があったらいいな」と感じる感覚そのものだったのかもしれません。
―― “まだないもの”を伝えるために、言葉のトーンはどのように探っていったのですか?
何度も立ち戻ったのが、まだないものを「どうすれば伝えられるだろうか」ということです。
ことばやデザインを考える前に必要だったのは、“こんな場所があったらいいな”と感じられるような世界観の手ざわり。それを、いかにやわらかく、人に届くかたちで翻訳していくか。その塩梅については、福永さんとも何度も話し合いました。
福永さんは、UGOKKO全体のキャッチフレーズやスローガンをはじめ、事業形態をあらわすことば、キャラクター・UGOKKO FRIENDSのストーリー設計、各サービス名やイメージカラーなど、ことばと構造の部分を広く担っています。医療や教育という専門領域の中で、どこまで文体をひらくか。やわらかさとポップさをどう出していくか。そのバランスは、コピーや文章を設計するうえでもとても難しかったといいます。
―― 「UGOKKO FRIENDS」は、どのような考え方から生まれていったのでしょうか。
キャラクターを担当した平野さんが最初に悩んだのは、「UGOKKO」ということばの位置づけでした。サービス名であり、「動く子ども」という意味も持つこのことばは、ここに通う子どもたち自身を指すものでもある。だからこそ、それをそのままキャラクター名として扱っていいのか、という迷いがあったといいます。
そもそも、この世界観のなかで“主人公”は誰なのか。
3人で何度も話し合いながら、考えが広がったり、戻ったり。そうしてたどり着いたのは、「主人公は、ここに来る子どもたちだよね」という、とてもシンプルな答えでした。
UGOKKOを象徴するキャラクターは、子どもたちの“相棒”であり、“フレンド”。成長していく姿をそばで見守り、ときに支え、ときに背中を押してくれる存在。こうして、5つのサービスそれぞれに象徴となるキャラクターが生まれ、「UGOKKO FRIENDS」として展開していくことになりました。その方向性が見えた瞬間、案が一気に固まっていきました。
“もっと届けたい”から生まれた、
手づくりの熱量が宿るUGOKKOワールド
―― Webサイトでは、UGOKKOというブランドをどのように体験してもらうことを目指しましたか?
Webサイトで目指したのは、UGOKKOというブランドを、できるだけ多くの人に愛されながら、長く育っていく存在にすることでした。
UGOKKOが持つ世界観を、前向きでワクワクする空気感とともに伝えること。複雑になりがちな仕組みやサービスを、親子にとってわかりやすく整理すること。そして、「UGOKKO FRIENDS」を見た瞬間に、直感的に好きになってもらうこと。
そのすべてを、ひとつの体験として自然につながるよう、サイト全体で世界観を設計していきました。
UGOKKO FRIENDS
https://ugokko.jp/friends/
UGOKKO WORLD
https://ugokko.jp/world/
―― 複雑になりがちなサービスの仕組みを、どのように“ひとつの世界”として見せていったのでしょうか。
特設サイトでは、UGOKKOで展開する5つのサービスと、そのサポートや仕組みを、「UGOKKO WORLD」というひとつの世界として表現しています。UGOKKOが実現したい未来を、一枚のビジュアルに落とし込み、親も子どもも感覚的に「楽しそう」「もっと知りたい」と感じられる入口をつくりました。
また、2分でわかるUGOKKO TVでは、コンセプトやサービス内容、サポートの仕組みを、親子で一緒に楽しめる“子ども番組”のような動画として設計しています。
UGOKKO TV
https://www.youtube.com/@ugokko-sj
―― UGOKKO FRIENDSをパペットとして制作したことも、この世界観に大きく効いているように感じます。なぜ手づくりの質感を取り入れたのでしょうか。
「クライアントが求める以上のことをしたい」と考えていたら、予算や条件はありながらも、できる限り形にしたいと思って…(笑)
サイトのメインビジュアルや動画に登場するUGOKKO FRIENDSは、その丸っこい愛らしさから、どうしてもパペットとして制作したかったんです。そこで裁縫が得意な知人にお願いしました。
動画の背景も、一見CGのように見えますが、DIYが得意なフォトグラファーによる手づくりです。映像もそのフォトグラファーに撮影をお願いしたり、ナレーションは福永さんが担当したり。
手弁当と言ってしまえばそれまでですが、自分たちで手をかけ、一つひとつに愛を込めることで、デジタルだけでは出せない温度や手づくりならではの質感が生まれた。その小さな積み重ねもまた、UGOKKOの世界観を支える大切な要素だと思っています。
必要とする人に届くまで
UGOKKOは始まったばかり
―― サイト公開後、UGOKKOにはどのような反応がありましたか?
サービスはスタートしたばかりですが、サイトを公開してから、遠方から「このサービスを受けたい」と足を運んでくださる方もいて、“求めていた人には深く響いている”という声をいただいています。
そうした反応に触れるたびに、まだ見ぬものを形にしていく過程の空気感や熱量は、画面の中にも宿るのだと感じます。
―― ことばや世界観を何度も練り直す過程で、印象に残っていることはありますか?
このプロジェクトでは、ことばや世界観の塩梅を、何度も立ち止まりながら考え続けてきました。だからこそ、どうしても時間がかかってしまいます。それでも、「もう少しここを練らせてもらっていいですか」という提案に対して、「ねばりましょう」と待ってくださったことが、本当にありがたかったです。
―― 最後に、UGOKKOという世界をこれからどのように育てていきたいですか?
以前、桜十字グループさまからは、メディメッセ桜十字のWebサイト制作で一度お声がけいただいたことがありましたが、そのときはスケジュールの都合でご一緒することができませんでした。それでも「いつか一緒に」と思い続けてくださり、UGOKKOの立ち上げという大切なタイミングで、あらためて声をかけてくださいました。
見つけてくれたこと。
待っていてくださったこと。
このタイミングで出会えたこと。
そのすべてが、UGOKKOというプロジェクトの実現につながったことを、とても嬉しく思っています。これからもモンブランは、UGOKKOの世界が広がっていくよう、新たな展開をともにかたちにしていきます。
桜十字グループさまとの対談「副音声」はこちら
https://monf.jp/fukuonsei/ugokko/
90日限定 全文公開中
2026.06.03
まだないサービスを、どう伝える? 『UGOKKO』の世界観づくり